クランボン・マナー・ガーデン Cranborne Manor Garden
目的地はわずか500m先のクランボン・マナー・ガーデンなのだ。
到着は9時丁度。一番乗りかと思いきや、大型コーチからぞろぞろと人が降りている。イギリスにもこんな団体さんがいるものなんだ。
こんな団体に巻き込まれたら、喧しくていけない。入場して直ぐのガーデンセンターは後回しにして先に進む。垂涎物のオーナメントが置いてある。
最初は"Walled Kitchen Garden"だ。50m四方の壁に囲まれた庭を4つに仕切り、それぞれ意匠を凝らしたデザインがなされている。
一つは右の扇方にデザインされた果樹園だ(写真上右から2枚目)。スイトピーかインゲンかの支柱でガゼボにしようというデザインも面白い(写真上右)。
手造りのベンチもある。後ろ中央に見える緑の四角形はイチイを刈り込んだベンチだ。(座ってはいけないのだそうだ)
周囲の白い壁をクライミングするバラが丁度見頃に咲いている(写真上左2枚)。おっと、団体さんが押し寄せた、次に移ろう。
マナーハウスまでは"Orchids and Wild Flowers"と称するメドウ(Meadow)ガーデンだ。野生蘭は見つからないが、
爽やかにそよぐWild Flowersの中にブロンズの牡牛が悠然と立っている(写真右)。"Druid"と名付けられている。
ドルイドとは”ケルトの祭司”あるいは”オークの賢者”ということが、その意味するところは分からない。
マナーハウスの横に素敵な並木道がある(写真下左)。プラタナスだろうか、樹皮の白さが良い。メドウの先に"Gatehouses"が見えてくる(写真上左)。
ジャコビアン様式というらしい。なかなか優雅な姿だ。アーチゲートの下の古びた石の象の像が印象的だ(写真下左から2枚目)。
アーチゲートを潜ると"South Front"だ(写真上右3枚)。中央の大きな芝のサークルの真ん中に池があり斬新なオーナメントがある(Angela Connor作)。
玄関ポーチのアーチも優雅なら、脇をクライミングするバラの色もシックに抑えられている。品が良い。
このマナーハウスは1207年にジョン王(King John)によって建てられた"Hunting Lodges"なのだ。ジョン王はこの猟場に22もの家を所有していたという。
17世紀の初めにソールズベリー伯爵(1st Earl of Salisbury)の手に渡った時にはほとんど廃墟だったものを、
1608年から改造したのが現在のマナーハウスなのだ。
South Frontを出てハウスの西面に出る。ここの壁も藤とバラがクライミングしている(写真上下右)。センスの良い色彩だ。
西面に広がるのが"Croquet Lawn"だ(写真下左から2枚目)。その片隅にイチイを刈り込んだトピアリー"Rooms"がある。
1989年に植えられた比較的新しいものだが随分大きく育ったものだ。面白いアイディアだ。
白いベンチブランコも優雅だ(写真下右から2枚目)。また一隅には奇妙な頭の像がある(写真上右から2枚目)。Elizabeth Frink作の"In Memoriam"という作品だ。
ここのガーデンはソールズベリー伯爵が17世紀のガーデニングのパイオニアであるジョン・トラデスカント(John Tradescant)に造らせたもので、
20世紀に当時のデザインで植栽し直されたものだ。
クリケット・ローンの西に"Sundial Garden"がある。菱形のマウンドが築かれ、マウンドのトップにはサンダイアルが立っている(写真下左2枚)。
マウンドの周りは4つの柘植のヘッジで囲われたベッド(Box-Edged Beds)がありラベンダーが植栽されている。更に外側に4つのベッドがあり
バラ、クレマチス、シャクヤク、ゼラニウムなどが潅木と共に厚く植えられている(写真下右)。バラのオベリスクも大型だ(写真上左)。
わずかな高さのマウンドだが、見下ろすパルテール(Parterre)は見晴らしが良く心地良い。これが17世紀のファッションだったとは知らなかった。
ヘッジの脇に円柱形に刈られたイチイ(Drum-shaped yew trees)の姿が直立する門衛のように見えて面白い。
サンダイアル・ガーデンの北を東西に走る"Yew Allee"の旧いイチイの木の間を通ってハウスの北側の"White Garden"に入る。
ガーデンの中央にテラスから真っ直ぐ通路が走っている(写真下左2枚)。両側の果樹はリンゴだ。足元には最盛期を過ぎたがセラスチウムが銀葉を輝かせている。
周囲には潅木、バラやクレマチスなど例年なら咲き始めているだろう植物の蕾が固い。やはり、今年の春は遅いようだ。
その証拠にハウスのテラスの巨大なクリスマスローズがまだ咲いている(写真右)。同じくテラスに年季の入ったイチイの部屋に大理石の像が立っている
(写真下右から2枚目)。歴史を感じさせる。
通路の鉄の扉の向こうは芝生の広場にプラタナスの並木がある。まだ若い木は病気に感染して植え替えられたからだ。
ガーデンセンター、キッチン・ガーデンの南側にも幾つかのガーデンが並んでいる。
一番西側に"Green Garden"がある。ブナの木の生垣で囲われた中に、中央の池を取り囲み幾何学模様にヘッジがシンメトリーに刻まれている。
中の草花が入れ替えられたばかりで余り美しくない。生垣の中に猟師(Hunter)の像がある(写真右)。ただ像を置くだけでなくヘッジの縁取りを付けるところが味噌だ。
その東に"Chalk Walk"が走る(写真下左)。ダブル・ボーダーの真ん中を歩き向こうのドアを開けるとハーブガーデン(Herb Garde)だ(写真下右3枚)。
ここが美しかった。ハーブはもちろんのこと、バラ、クレマチス、ジギタリス、デルフィニウム、ポピー、リクニス、ゲラニウム、ヒューケラなどなど、
色彩と芳香に思わず歓声が出る。最後に素晴らしいガーデンに出合え大満足でガーデンセンターに向かう。
まずはオーナメントの売り場に入る。入り口には美しいバラにコンテナが置かれている(写真下左)。こんな風に仕立てたいものだ。
バラの間にサンダイアルが見える(写真は下左の拡大写真でどうぞ)。これも売り物だ。これが似合うガーデンはおいそれとはないだろう。
次はコンテナや壷のコーナーだ(写真下左から2枚目)大小さまざまに取り揃えてある。多くが対で置かれている。
この展示スペースそのものがガーデンだ。叶うことなら、2つ3つ持って帰りたい。
次のコーナーは素材の違うオーナメントが並んでいる(写真右から2枚目)。可愛いものがいっぱいで、これももって帰りたい。後ろに並ぶ資材や樹木の苗も豊富だ。
バラの苗のコーナーで持って帰れないと分かりつつ立ち止まる。さほど大きくない苗だが、大輪の花をつけている(写真下右)。お値段もリーズナブル。
でも持ち帰れない。垂涎、落涙、その内鼻水まで垂らすといけないので立ち去ることにする。
ティールームのハンギング・バスケットは夏バージョンにしたばかりだ。1ヶ月もすればバスケットが見えないくらいに茂るのだろう(写真右)。
Address | 4 High Street, Cranborne, Wimborne, Dorset BH21 5PS |
Telephone | 01725 517289 |
Web Site | Cranborne Manor Garden |
オープンの日・時間や入場料は Web Site あるいは
Gardens Finder
Gardens Guideで確認ください。
「旅行記」もご覧ください。